賃貸借契約の民法改正②

賃借人が亡くなった場合

アパートの借主が死亡した時、家賃滞納があった場合は、誰に請求すればよいのでしょうか。その場合、借主が亡くなっても賃貸借契約は終わらず、存続します。

通常、滞納が発生した時は連帯保証人に催促します。しかし、借主が死亡した場合は、借主の『相続人』に請求することになります。借主の死亡後は、連帯保証人に請求できなくなりますので注意が必要です。

保証人が亡くなった場合

では、連帯保証人が死亡した場合はどうなるのでしょうか。連帯保証人の相続人には、催促できません。借主に請求しても応じない場合、他に催促すべき保証人が不在となってしまいます。保証人不在のまま、賃貸借契約は続くことになります。

それを防ぐためには、契約書に次のような条項を入れる必要があります。『丙が保証人でなくなった時は、借主は直ちに新たな連帯保証人を追加しなければなりません。』契約更新をしない賃貸借契約ですと、古い契約は連帯保証人が知らぬ間に亡くなっている場合があります。この条項を付け加えると同時に、借主に定期的に連帯保証人がお元気かどうか確認すると安心ですね。

借主債務の加重

あまり見られないケースだと思いますが、賃貸借契約が終了しても、借主がアパートに居座る場合があります。『賃貸借契約後、明け渡しまで賃料の倍額に相当する違約金を支払う。』と契約書にある場合、借主には賃料の倍額を請求できますが、連帯保証人には請求できなくなります。

それでは、オーナー様が不利となりますので、次の条項を加えることをおすすめします。『本契約に基づく借主の債務が条件変更により加重された場合、連帯保証人の負担も当然に加重されるものとします。』

保証人に対する情報提供義務

民法改正後は、連帯保証人から借主の入金状況等を聞かれた場合、オーナー様はその情報を連帯保証人に教えなければなりません。ただ、ここで注意したい点があります。悪意のある第三者が保証人のフリをして入金状況を聞いてきた場合、うっかり情報を提供してしまうと、借主の個人情報が悪人に漏れてしまい、大問題になってしまいます。

このような問題を防ぐためには、悪人でないとわかる本人確認と情報の伝え方について、契約書に次の条項の記載すると安心です。『連帯保証人が貸主に対し、身分証明書を提示して、賃料その他本契約に基づいて借主が負担する債務についての不履行の有無およびその額に関する情報の提供を求めたときは、貸主は、貸主の指定する方法により、当該情報を提供するものとし、借主はこれに異議を述べません。』